同人誌やZINEなどいざ自分で本を作ってみたい!と思っても、じゃあどうすれば本は作れるの?と疑問が湧いてきた方のためにいくつかのパートに分けて本を作る方法を解説しています。
本記事では本を作る方法そのものについてを紹介していきます。
細かいことは言われても分からないから手っ取り早くどんな方法があるのか教えてよ!って方は「もっと噛み砕いた「自分で本を作る」方法?」からどうぞ。
自分で本を作る方法とは?
自分で本を作る方法といっても観点によって意味が変わってくるので、まずは「製本」という観点で考えてみます。
ちなみに「製本」の意味は
印刷物などを折り畳み、また原稿などの紙葉を順序に従って取りまとめ、糸・針金・接着剤などで互いに接合し、表紙などをつけて一冊子に形づくること。
weblio辞書 – 製本 – https://www.weblio.jp/content/%E8%A3%BD%E6%9C%AC
これを踏まえると以下の2つに分けられます。
- 印刷所で製本してもらう
- 自分で製本する
どちらにしろ自分で原稿を作成しますので「自分で本を作る」ことに変わりありません。
では、視点を変えて製本する紙を「印刷」する観点から考えてみます。
こちらも製本と同様に2種類に分けられます。
- 印刷所で印刷してもらう
- 自分で印刷する
せっかくなのでもう1つおまけに「原稿作成」の観点から考えてみましょう。
これも2種類に分けられます。
- 原稿データを人に作ってもらう
- 自分で原稿データを作る
これはどういうことなのかといえば、本にしたいコンテンツ(漫画/イラスト/小説など)を自分で用意した後、印刷可能な状態に整える作業工程が発生することを想定しています。
実際に本を作ったことがない方はいまいちイメージがつきづらいかもしれませんが、本作りに必要なデータ/作業工程を解説した以下の記事を参考にしてください。
▼ 参考:(作成中)本作りで必要なデータや作業工程はどんなものなの?
ここまで書いた内容を整理すると「自分で本を作る方法」は以下のように考えられます。
なお、見た目でも分かりやすいように自分を黒、印刷所を青、その他を緑の文字色にしています。
- コンテンツ〜原稿作成を自分→ 印刷所にて印刷〜製本
- コンテンツ〜原稿作成を自分→ 印刷所にて印刷→ 自分で製本
- コンテンツ作成〜印刷を自分→ 印刷所にて製本
- コンテンツ作成〜製本まで全て自分
- コンテンツ作成を自分→ 原稿作成を委託→ 印刷所/自分にて印刷〜製本
という具合に「自分で本を作る」と言っても方法は様々にあります。
とはいえ、これらの大元となるコンテンツ(本としてまとめる内容)は自分で作っているので「自分で本を作る」という表現に内包されるのです。
もっと噛み砕いた「自分で本を作る」方法?
本質の部分を細かく説明したところで、もっと噛み砕くと「自分で本を作る」方法はたった2種類。
- 印刷所で製本する
- 自分で製本する
まずはこの2つを押さえてもらえたらOKです。
ここからさらに分けたとしても、自分で製本する際にガチな製本をするかコピー本として製本するかくらい。
初めて本を作る場合、ひとまず自分で製本する=コピー本と覚えてもらっても差し支えありません。
それぞれのメリットとデメリットとは
自分で本を作る方法には2種類あると分かったところで、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
それぞれの特徴をあえて極端な意見でまとめたのが以下の表です。
特にコスト、製本知識、見栄えは一概には言えない部分でもあるため極端な意見であることをご承知おきください。
それぞれの特徴をまとめるとすれば
印刷所での製本は書店で売っているような本格的な本が作れる。
自分での製本(コピー本)は特別な知識がなくても気軽に本が作れる。
どちらも状況に合わせた良い面を持っているので、自分がどんな本を作りたいかをぜひ考えてみてくださいね。
それぞれの方法についてもう少し詳しく知りたい
印刷所/自分での製本方法の特徴をもう少し詳しく見てみましょう。
印刷所を利用して製本する
印刷所を利用する場合、代表的な製本方法は以下の2つです。
- 無線綴じ(平綴じ)
- 中綴じ
「無線綴じ」とは
同人誌などの冊子では定番の製本方法。印刷所によっては「平綴じ」とも言われます。
背表紙があるタイプの冊子で、各ページを背幅の部分で糊付けしています。
「中綴じ」とは
印刷した紙を重ね、中央部分をホチキス留めする製本方法。
印刷所によっては「折り本」とも言われます。
ホチキス留めするため、本の根元まで開くことが出来るためイラスト/写真集などにおすすめの製本です。
他にも製本方法はありますが、まずは代表的なこの2つを知っておけば大丈夫ですよ。
引き続き印刷所で製本する際の特徴を見ていきましょう。
特徴1:費用は印刷所から提示される印刷代
印刷所で製本する際に掛かる費用はこれが全てです。
印刷代の内訳は印刷所によって異なりますが、以下が含まれることが多いです。
- 印刷に掛かる基本費用
- 印刷所から指定先までの配送料
- 消費税
また、注文内容によってはオプション費用が課金されます。
特徴2:入稿/発注してから納品までに時間が掛かる
どの印刷所にも印刷/製本のプランが設けられており、各仕様に合わせた「納期」が記載されています。
最短で翌日受け取りが可能な印刷所もありますが、大抵3〜7日納期が多いように思います。
印刷所も会社なので営業日が設けられています。
基本的に印刷/製本/発送を行うのは営業日なので、納期を計算する際は注意してくださいね。
特徴3:入稿後の手間は一切なし
印刷/製本を印刷所へお願いする場合、原稿を入稿した後に発生する作業は全て印刷所が進めてくれます。
それ以降は印刷所から本が送られてくるのを楽しみに待っていましょう。
ただし、入稿後に原稿不備が見つかった場合は原稿を手直しすることもあるので完全原稿(印刷可能な原稿)を入稿した場合に限ります。
特徴4:製本知識はないよりあった方が良い
正直、製本や原稿作成に関する知識はなくても本は作れます。
その理由は、大抵の印刷所のスタッフさんがとても親切で優しい対応をしてくれるからです。
具体的にどんなことをしてくれるかというと
- 原稿のミス/懸念点に気づけば指摘してくれる
- 作業を巻き取って対応してくれる
- 分からないことがあれば丁寧に教えてくれる
など、本や原稿の作り方、入稿の仕方を教えてもらえるので初めての本作りでもそう心配することはありません。
でも、どうせ本を作るなら自分が思い描いたイメージ通りに作りたいと思いませんか?
イメージ通りの本を作るための近道は、製本や原稿の作り方、印刷所が対応できるサービスの知識を得ること!
だから知識はなくても本は作れるけど、ないよりはあった方が楽しい本作りができますよ。
特徴5:無線綴じ/中綴じ共に仕上がりは綺麗
印刷/製本のプロにお任せするので、印刷物の状態はもちろん製本の仕上がりは綺麗です。
中綴じは自分でする製本のコピー本にも使われる方法なので印刷所にお願いするのはちょっと……と思うのはもったいない!
前述した通り、中綴じ製本のメリットは紙を完全に開き切ることができる点です。
対する無線綴じは背表紙部分で糊付けするので見開くことはできません。
イラスト/写真集は1面見開きのデザインをすると中綴じ製本のメリットがフルで発揮されますよ!
ただし、重ねる紙の枚数が多いと綴じられなくなるので注意が必要。
ちなみに、無線綴じのメリットは枚数が多い紙を綴じられることと、耐久性が高いことです。
無線綴じには無線綴じの、中綴じには中綴じのメリットがあります。
どんな本を作りたいかに合わせて綴じ方を選択してくださいね。
自分の手で製本する
次に自分の手で製本する方法、本記事では「コピー本」の特徴について紹介していきます。
コピー本は前項で紹介した「中綴じ」で製本する場合が多いです。
自宅などで出力した紙を重ね、中央部分でホチキス留めするだけです。
これといって技術は求められませんが、綺麗に綴じるには慣れが必要かもしれません。
折り目に合わせてホチキス留めをするのって案外難しいんですよね〜。
私は30cm定規で折り目をつけてから中綴じ用ホチキスで留めています。
私は画像の中綴じホチキスを使ってます。紙がずれないように押さえられるのが便利です。
中綴じ用ホチキスがもっと小さいタイプがあったり、100均でも購入できるようなので探してみてください。
特徴1:費用が極限まで押さえられる
自分でコピー本を作るメリットの1つ目は高い印刷代を削減できること。
具体的に掛かる費用といえば以下。
- 印刷する用紙の代金
- インク代/出力代
- ホチキスの針など備品代
押さえようと思えばいくらでもコストを減らせるし、逆に言えば掛けようと思えばいくらでもコストを掛けられるのがコピー本を作る楽しみ方でもあります。
とはいえ、改めてプリンターやインク、中綴じ用ホチキスを購入する場合は備品代としてお金は掛かるので状況によりけりです。
また、最近ではコンビニのコピー機サービスが進化しすぎてちょっとした同人誌くらいならコンビニで刷った方が安い場合もあります。
そのため、「インク代」は「出力代」にも言い換えが可能。
よりクオリティの高い印刷を求める場合は家庭用プリンターを買うよりもキンコーズの店舗で出力することをおすすめします。コスパも良い。
▼ 参考:同人誌(コピー本)の印刷・製本 | コピー・ポスター・名刺印刷・製本のキンコーズ・ジャパン
特徴2:欲しいと思った時にすぐ作れる
コピー本を作るメリットの2つ目がこれ。
納期は自分次第。
コピー本1冊あたりの製本時間だけを考えれば紙を折る→ホチキスで綴じる→冊子を整えるだけなので1分も掛からないです。
つまり、許されるならイベント前日だろうが当日の朝だろうが作ろうと思えば冊子が用意できますよ!!(笑顔)
欲しいと思った時に欲しい分だけ気軽に作れちゃうのが自分で製本する最大のメリットだと言っても良いです。
特徴3:製本する冊数が多いほど大変になる
冊子を1冊作るくらいなら時間も手間も気になりませんが、冊数が多くなればなるほど大変になります。
最初から最後まで自分でやらなきゃいけないので、原稿作ってはい終わり!とはならないのがデメリットかもしれませんね。
たくさん作りたい場合は前もってちまちま進めるか、内職を一緒にしてくれる友人や家族に頼み込むしかない……。
特徴4:原稿も印刷も製本も全部自分!の弊害
完成した原稿をただ1ページ目から順番に印刷していくだけでは残念ながら本にはなりません。
重ねた紙をめくると正しく読めるように印刷面の配置を考えて印刷しなければいけないんですよ。
この作業を「面付け(めんつけ)」と言います。
一体何を言われているのかさっぱり分からないという方は以下の記事を参考にしてみてください。(専用の解説記事は準備中です)
▼ 参考:ネットプリントと「文庫ページメーカー」を使って簡単にコピー本を作ってみよう!
へえー、そういうことを考えないといけないのねー。と分かったところで、こういう「何をしなきゃいけない」という情報は実際にやってみるまで気づけませんよね。
これです。あれもこれも全部自分でやると、知っていないといけない知識が抜けているのであれこれと調べなきゃいけません。
印刷所へお願いすると心優しくて丁寧なスタッフさんたちが意識しないままにお世話してくれるので、事なきを得るわけです。
これは1つの考え方ですが、印刷所へ製本をお願いする時に掛かる費用にはサポート代も含まれていると考えてみて欲しいです。
印刷所によって印刷費用がまちまちな理由はサポート体制の有無も関係してきます。
対する自分で製本する時は費用が押さえられる代わりに誰からのサポートも得られないので、初めて作る時は少し大変に感じるかもしれませんね。
特徴5:1番イメージ通りの本が作れるのはコピー本
コピー本を作るメリットは費用を押さえられることと前述しましたが、一方で自分が思い描いた通りの作りたい本が作れるのはコピー本だという考え方もあります。
例えば、印刷する紙。
印刷所を利用する時に「紙替えオプション」というものがあるのですが、色付きの紙やちょっと特殊な紙を使用するとその分だけプラスでお金が掛かります。
その特殊な紙は文具店やネット通販で購入できることをご存知ですか?
インクジェット対応の紙も多く、自宅のプリンターで印刷可能です。
▼ Amazon:KAMIOLSHOP / 楽天:紙通販ダイゲン、KAMIOLSHOP
好きな紙を購入して表紙と本文の紙を変えることもできるし、1ページごとに違う色の紙を使うこともできます。
印刷所さんでやろうと思うとかなり高くなってしまうことも自分でやれば手間は掛かりますが、安価に済む場合もありますよ。
材料を揃えられたら、思い描くイメージに最も近く本を作れるのは間違いなく自分で製本する方法だとも思います。
また、こだわればこだわるほど豪華な本が作れるのはコピー本も同じです。
初めての本作りではどちらがおすすめ?
ここまで印刷所での製本と自分で製本する方法の特徴を紹介してきました。
初めての本作りであれば本記事内に書かれていることの全てを理解しきれないかもしれませんが、実際にやってみて分かることや気づきはたくさん出てきますので「なんとなく分かった」程度で十分ですよ。
繰り返しこの記事を読みながら経験値を集めていけばOKです!
では、それぞれの特徴を見たところで実際初めての本作りはどちらがおすすめなの?という疑問が出てくるかと思います。
これはあくまでも私の主観ですが、本作り初心者さんであれば多少大変な思いをするのを理解した上で自分で製本をおすすめします。
理由はいくつかあり、1つは全部自分でやることで本作りに必要な知識がひと通り学べるからです。
原稿を作り印刷をしてみることで気づくこともあるし、印刷した紙を製本することで気づくこともあります。
何事も大は小を兼ねるというやつで、全体の流れを理解することがレベルアップの秘訣であり、上達への近道ですよ。
せっかく本を作ってみたいと思ったのであれば、とことん本作りを楽しんで欲しい……!
ぜひ最初の本は自分で作ってみてください。
最初から最後まで作った自分の本は不思議とどんな本よりも愛着が湧いてきますよ。
そして、自分で本を作ったら次は印刷所を利用して本を作ってみてください。
本を作るための作業工程をひと通り経験しているので、原稿作成には何が必要なのか自然と分かります。
実際に作ってみよう!
では早速自分の本を作ってみましょう!
という記事を現在作成中ですので少しお待ちくださいね。
先に知りたい方は以下の記事で公開しているセミナー用スライドをダウンロードいただければ概要が読めます。
また、本作りについて相談したいことがあればお気軽にお問い合わせください!
本記事でも触れていますが入稿データ作成のお手伝いもしておりますので、とにかく本は作ってみたいけど何から初めていいか分からない方も大歓迎です。
お問い合わせは大変お手数ですがTwitterのDMかメールtokisame.mail★gmail.com(★を@へ変更してください)にてお寄せいただければと存じます。
全然中身がまとまってないけど大丈夫かな…?なんていうのでも気にせず教えていただければ幸いです。
せっかくなので一緒に楽しく本作りしましょう〜〜!
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