「初めての同人誌作りシリーズ」第2回です。
前回の記事で本を作る方法にはどんなものがあるのかを解説しました。
さらっとおさらいすると以下の2つ。
- 印刷所で製本する
- 自分で製本する
記事を読んで印刷所で作ってみたい!まずは自分で作ってみる!など意気込みが高まってきたら嬉しいなと思います。
このまま一緒に楽しく本を作っていきましょう!
第2回にあたる本記事では、実際に本を作る方法を解説する前に本作りで1番大事なお話を書いています。
具体的に何かというと、あなたが作る本のゴール地点をまず最初に考えて欲しいのです。
意欲が高まって早く本を作りたい!とワクワクしているかとは思いますが、この記事でワンクッションをおくだけで本作りで迷うことなく突っ走ることができますよ!
本作り初心者さん「何をしたらいいか分からない……」
私は同人誌の作り方などを解説する勉強会を行っていましたが、参加してくださった本作り未経験の方は「何をしたらいいか分からない」と言っていました。
それだけでなく、Twitterなどでいただいたお問い合わせでも皆さん同様のことで悩んでいました。
本を作りたい!作ってみよう!と思ってもいざやろうと思うと何をしたらいいの?と疑問を解消できないまま気持ちを持て余す方は多いようです。
実はこの疑問は、本作り初心者さんの前に立ちはだかる壁の中で最も大きくて強い壁なんです。
そんな強敵と出会うタイミングが、はじまりの町を出てすぐに見える1番道路なのでなかなか実践には至りませんよね。
実際に本を作るには「何をしたらいいか分からない」状況から脱する必要があるわけですが、そのためにどんな本を作りたいかのイメージを固めて欲しいのです。
必ず最初にどんな本を作りたいかを考えよう
例えば、あなたはお昼ご飯を食べようとしています。
何が食べたいかを考え、パスタにしようと決めました。
次は、パスタを食べるために専門店やイタリアンのお店など具体的なお店の候補を思い浮かべますよね。
本記事で書いている「どんな本を作りたいかを考える」とは何を食べたいかを考えることと同じです。
実際にパスタを食べるかどうかはともかくとして、パスタを食べると決めたからお店の候補を考えられるようになります。
これを本作りに言い換えると、どんな本を作りたいか決めたから作成方法を考えられるようになる、という感じでしょうか。
前回の記事を読んでいるあなたは既に2通りの作成方法を知っています。
「作りたい本のイメージ」というゴール地点さえ明確になっていれば、作成方法は自然と決まります。
- 自分でも作れる本なのか
- 印刷所でしか作れない本なのか
- どちらの方法がよりイメージに近づくのか
実際にその本を作るかどうかはともかくとして、自分で作るのか/印刷所で作るのかを決めたらその方法に合わせて必要なものを準備していくだけです。
それぞれの方法で本を作るにあたり準備するものについては今後の記事で解説しますので、今はまだ分からなくてOKですよ。
私がこれまでに出会った本作り初心者さんのお話を聞いていくとどの方も本を作りたい!という気持ちはとびっきり強いものの、どんな本を作りたいですか?と聞くと皆さん「よく分からない」と言っていました。
初めてやってみることはどんなことでも分からないことばかりで戸惑いますよね。
少し検索をするだけで色々な情報がたくさん出てくるので「何からやっていけばいいか分からない」状態に困ってしまうのも当然です。
あなたが検索して目にする情報は全て本を作るための手段です。
目的が定まっていない状態のまま手段だけ知っても、結局どれが良いのか分からず混乱してしまいます。
これこそが「何をしたらいいの?」と悩んでしまう原因ですよ!
何をしたらいいのか分からない状態を回避するために、まずは「どんな本が作りたいのか」というイメージを固めてください。
イメージが固まったら、自分で作るのか/印刷所で作るのかを決めましょう。
まずはここまで出来れば十分ですよ!
とはいえ、本作りで最初にやることは分かったけど実際に作ったことがないから具体的なイメージなんて固められないよ!と思うこともあるでしょう。
あなたが作りたい本のイメージを固めるヒントを解説していきます。
ゴール地点を考える時のヒント
ゴール地点を考えるヒントはいくつかありますので1つずつ紹介していきます。
ヒント1:あなたが本を作りたいと思ったきっかけの本
作りたい本のイメージをより具体的にする方法として1番有効なのが、あなたが何をきっかけに本を作りたいと思ったのかを思い出すことです。
あなたはどうして本を作ってみたい!と思いましたか?
- 同人誌などの本を買った
- 好きな人が本を作っていた
- 素敵な装丁の本を見かけた
- 自分の作品をまとめたかった
など、何か本に関連するきっかけがあったのではないでしょうか。
あなたがこうして本作りの方法を調べるに至ったきっかけの本こそ、あなたが目標とするべきゴール地点だといえます。
さらにいえば、こんな本を作ってみたい!と思えた実物の本をお手本にすると、より本の完成イメージが具体的になりますよ。
お手本とする本はどんなものでも良いです。
同人誌や書店で購入した書籍など、実際に手元にある本を参考にするのが1番分かりやすいです。
ヒント2:中身からアプローチする
作りたい本のイメージを1つずつ整理してみましょう。
まずは「中身」の観点でアプローチする方法から。
あなたが作りたい本は次のうちどれでしょうか?
- 漫画
- 小説
- イラスト/写真集
- レシピや旅行記をまとめた本
- エッセイや自伝
- 技術評論
- 雑誌
思いつく限りの本を挙げてみましたが、大抵の本がどれかの項目と同じか似たようなレイアウト/デザインの本になるかと思います。
本としてまとめたい中身によって原稿の作成方法や利用するツールが異なりますし、相性の良い製本方法や使える装丁を考えることも可能です。
あなたが作りたい本の中身は何かを考えてみてくださいね。
ヒント3:外見からアプローチする
本の「外見」に含まれる要素は様々にあります。
- サイズ
- 厚み
- デザイン
- 加工
- 用紙
これも思いつきで挙げているので、他にも要素があれば追記します。
例えば「サイズ」。
製本可能なサイズはA4〜文庫サイズまで様々です。
同人誌の一般的なサイズはA5サイズですが、イラスト集/写真集ならA4サイズでたっぷり堪能するのも良いでしょうし、小説なら文庫や新書サイズを好む方も多いです。
「厚み」であれば、厚い本を作るためには相応の中身を作る必要があり、薄い本を作るには無線綴じよりも中綴じの方が合うかもしれません。
使いたい「加工」や「紙」が全ての印刷所で使えるとは限りませんし、デザインするソフトが対応しているかどうかは印刷所によって異なります。
外見の要素を具体的に決めることで、本作りの次のステップへ進んだ時に出てくる仕様決めがずいぶん楽になりますよ。
ヒント4:予算からアプローチする
まだ何も情報がない中で想像するのは難しいと思うので可能な限りで構いませんが、あなたがいくらまでなら本作りでお金を出しても良いと思うのか考えてみてください。
本を作るにもお金が掛かります。
本作りに掛かるお金は抑えようと思えば限りなく抑えられますが、逆に膨らませようと思えばどこまでも膨らませられます。
コピー本くらいなら1冊あたり100円で程度で作れる場合もありますし、印刷所で作っても1冊300円程度で済む場合もあります。
一方、私は1冊あたり1,000円くらいになるように計算して本を作ります。
人によっては1冊3,000円くらい掛かる本を作っていることもあります。
お問い合わせいただく際に「どれくらい掛かりますか?」と聞かれることも多いですが、あなたがいくらまで出せるか/いくらまで出しても良いと思っているかを考えた方が早いです。
本作りはお金が掛かる趣味です。
活動を続けるためにも、あなたなりの無理のない範囲をあらかじめ明確にしておくことをおすすめします。
今の段階ではふわっとした予算感でも構いません。
お金という観点からもゴール地点を決めることは可能なので、頭の片隅にでも置いてもらえたら幸いです。
あなたの中でイメージが固まったら早速本を作っていこう!
ここまでの内容を読んであなたが作りたい本のイメージは固まりましたか?
もし候補が複数あるようであれば、その気持ちやアイディアを忘れてしまわないようにメモ程度で構わないので必ず残しておいてください。
そのアイディアは次の本の装丁候補として大切に取っておきましょう!
メモをするのはスマホのアプリでも良いですし、手帳などの紙に手書きするでもOKです。
私は手書きしながら考え事するのが性に合っているのでどこへ行くにも手帳を1冊持ち歩いています。
考え事やアイディアを書くだけなので手帳は持ち運びが楽な小さいもので十分。
ちょうどお役立ち書籍も発売したので、参考にしてみてください。
Amazonで見る / 楽天で見る
自宅ではA4のコピー用紙をクリップで束ねて自由帳みたいに使っていますが、思いついたことはなんでも吐き出してメモとしてためておくと良いですよ〜!
アイディアは創作をする上で欠かせない大事な材料ですからね。
話が少し逸れましたが、本を作りたいと思った時にまずやるべきことは作ってみたい本のイメージを固めることです!
余力があれば、本作りでやってみたいことも考えてみてください。
もう1つ付け加えるとすれば、この本をマネしたい!と思える実物の本を見つけられるとより具体性が増して本作りの助けになってくれますよ。
それではいよいよ次回から本作りを始めましょう!
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