「初めての同人誌作りシリーズ」第3回です。
前回の記事であなたが作りたい本(ゴール地点)を決めたので、あとはひたすらゴールに向かって必要な知識を得たり、作業をしていくだけです!
それでは早速「本を作る作業」に進んでいきましょう〜。
本記事では、あなたの頭の中にあるイメージを実物にするまでの工程を解説していきます。
この記事がゴールへ辿りつくまでの地図とでも思っていただければOKですよ。
ワクワクの熱量が冷めないうちにどんどん進んでいきましょう!
作業一覧
本作りで発生する作業を箇条書きで挙げてみます。
- 作る本の構想を練る/決定する
- 原稿を作る
え、これだけ?と思いましたよね?
大まかな作業自体を挙げればこれだけなんです。
とはいえこれでは全く何も分かりませんよね。
本作りの方法として紹介した「コピー本を作る(自分で製本する)」と「印刷所で製本する」のパターンに分けて必要な作業をさらに細かく挙げてみます。
コピー本を作る時
- 作りたい本の構想を練る
- コピー本を作ると決める
- 印刷方法を決める(自宅で/外部で)
- (自宅印刷の場合)用紙などの備品を用意する
- 原稿を作る1:表紙
- 原稿を作る2:本文
- 原稿を作る3:奥付など
- 原稿を印刷可能な状態にする
- 印刷する(自宅/外部で方法は異なる)
- 印刷物を製本する
なお、上記の作業一覧の中の「原稿を作る」の意味は漫画や小説を作ることではありません。
これについては後述しますね。
また「原稿を印刷可能な状態にする」の意味は出力した用紙をホチキスで留めたら本として成立するように面付けすることと、印刷可能な保存形式に整えることを指しています。
これは別記事で解説します。
それから、コピー本を作る場合は印刷する手段として以下の2つが考えられます。
- 自宅で印刷する
- コンビニなど外部のプリンターで印刷する
どちらを採用するかによって準備物や印刷する工程に差異が生じます。
これについても後述します。
印刷所で製本する時
- 作りたい本の構想を練る
- 印刷所で製本すると決める
- 利用する印刷所を決める
- (必要な場合)入稿予約をする
- 原稿を作る1:表紙
- 原稿を作る2:本文
- 原稿を作る3:奥付など
- 原稿を入稿可能な状態にする
- 印刷所へ締切までに入稿する
- 印刷所へ入金する
- 脱稿する
上記の作業一覧も「原稿を作る」の意味は漫画や小説を作ることではありませんのでご注意を。
詳細は本記事の後編で解説します。
また「原稿を入稿可能な状態にする」の意味は、原稿を印刷所が指定する保存形式に整えることと、必要に応じてzipファイルにまとめたりすることを指しています。
これは別記事で解説します。
なお、印刷所によって対応は様々ですが「入金=脱稿」という場合や脱稿後に入金したり、納品のタイミングで入金する場合もあります。
それから、11の後に印刷所から本が納品されますが、待つだけで作業というほどのものでもないためあえて割愛しています。
どうでしょう、頭の中にあるイメージを具現化するための道筋が少しでも見えたようであれば幸いです。
各項目について少し補足を加えてみます。
それぞれの作業について深掘りする
繰り返しになりますが、本記事はあくまでもゴールへ辿りつくまでの地図のような位置付けです。
どんな作業が発生するのか全体像を把握するための解説をしているため、具体的な原稿の作り方みたいな解説はここでは行いません。
具体的な作業方法を紹介する手順書は別記事として作成しますので本シリーズを満遍なくご活用いただければ幸いです。
では、前項で挙げた作業について補足を加えていきますね。
コピー本を作る時
コピー本を作る時に発生する作業について全部で10の項目を挙げました。
- 作りたい本の構想を練る
- コピー本を作ると決める
- 印刷方法を決める(自宅で/外部で)
- (自宅印刷の場合)用紙などの備品を用意する
- 原稿を作る1:表紙
- 原稿を作る2:本文
- 原稿を作る3:奥付など
- 原稿を印刷可能な状態にする
- 印刷する(自宅/外部で方法は異なる)
- 印刷物を製本する
作業一覧をおさらいしたところで、補足します。
1、作りたい本の構想を練る
→ 前回考えた「あなたが作りたい本」のことです。
本を作る作業を経てどんな本を完成させたいのかイメージを固めましょう。
2、コピー本を作ると決める
→ これも前回で考えてもらいました。作りたい本のイメージを固めた結果、「自分で作る」のと「印刷所で製本する」のではどちらがよりイメージに近い本が作れるのか決めてください。
もちろん、どちらの方法で本を作ってみたいかで決めてもOKですよ!
3、印刷方法を決める(自宅で/外部で)
→ 何年か前ならコピー本を作るのは自宅一択しかありませんでしたが、今の時代は外部でのプリントサービスが一般にも普及してきました。
例えば、コンビニのプリンターを利用する「ネットプリント」など、キンコーズの店舗などが該当します。
自宅にプリンターがない家庭も増えてきたのでご自身の環境に合わせて自宅または外部で印刷するか決めましょう。
4、(自宅印刷の場合)用紙などの備品を用意する
→ 3で自宅印刷すると決めた時に発生する項目です。自宅で印刷するには出力するプリンター、印刷用紙、製本に使うホチキスなどが必要なのでご自身の状況に合わせて準備します。
具体的な準備物については別記事で解説します。
5〜8、原稿を作る
→ 同人誌を作る時に最低限必要な原稿は「表紙」「本文」「奥付」です。
他に作ると良いもの、具体的にどうやって作るのかは別記事で解説します。
9、印刷する(自宅/外部で方法は異なる)
→ 3と被る部分ですが、自宅/外部で印刷する場合によって印刷方法は異なります。
例えば、自宅で印刷する場合は1枚ずつ両面印刷した後に丁合いすることもありますが、外部で印刷する場合は自動で両面印刷/丁合いされるものの外出したりプリント登録したりと色々あります。
この辺も別記事で解説しますね。
10、印刷物を製本する
→ 出力した後は用紙を束ねてホチキス留めして終わりです!
実際に製本する時は用紙を折ってからホチキス留めします。
具体的な作業手順についてはほぼ触れていませんが、簡単な補足を付け加えてみました。
コピー本を作る作業の流れのイメージができていれば幸いです。
印刷所で製本する時
印刷所を利用した製本時に発生する作業について全部で11の項目を挙げました。
- 作りたい本の構想を練る
- 印刷所で製本すると決める
- 利用する印刷所を決める
- (必要な場合)入稿予約をする
- 原稿を作る1:表紙
- 原稿を作る2:本文
- 原稿を作る3:奥付など
- 原稿を入稿可能な状態にする
- 印刷所へ締切までに入稿する
- 印刷所へ入金する
- 脱稿する
改めて作業一覧をおさらいしたところで、補足を加えていきます。
1、作りたい本の構想を練る
→ 前述した内容ですが、前回考えた「あなたが作りたい本」のことです。
本を作る作業を経てどんな本を完成させたいのかイメージを固めましょう。
2、印刷所で製本すると決める
→ こちらも前述した内容です。
前回で考えた作りたい本のイメージを固めた結果、「自分で作る」のと「印刷所で製本する」のではどちらがよりイメージに近い本が作れるのか決めてください。
もちろん、どちらの方法で本を作ってみたいかで決めてもOKですよ!
3、利用する印刷所を決める
→ 印刷所で製本する場合、必ず最初にやってください。
印刷所ごとに作成原稿のルールがあり、仕様に合っていない原稿を作ってしまうと最悪の場合は1から作り直しになります!
4、(必要な場合)入稿予約をする
→ 特に本を少部数で作りたい方に発生する作業です。
印刷所によっては入稿枠を設けている所があり、その枠を越えると入稿受付を締め切ってしまう場合があります。
小さな印刷所ほど入稿予約が必要なので、必ず最初に製本をお願いする印刷所を決めて欲しい理由でもあります。
5〜8、原稿を作る
→ 前述した内容ですが、同人誌を作る時に最低限必要な原稿は「表紙」「本文」「奥付」です。
他に作ると良いもの、具体的にどうやって作るのかは別記事で解説します。
9、印刷所へ締切までに入稿する
→ 特にイベント合わせであれば特別締切が設けられていることが多いので必ず確認しましょう。
また、入稿方法は印刷所によって様々です。
印刷所のシステムを利用する場合もあれば、メールでファイルを送る場合もあります。
製本をお願いする印刷所の入稿方法は事前に把握しましょう。
10、印刷所へ入金する
→ 入金のタイミング/方法は印刷所によって異なります。
印刷代の支払い方法を確認し、ご自身の都合に合わせて印刷所を決めるのも1つの考え方かもしれませんね。
11、脱稿する
→ 印刷所を利用して製本する場合、入稿/入金して終わりではありません。
印刷所のスタッフさんが入稿した原稿を確認し、不備がないかをチェックします。
何か不備が見つかった時は原稿を修正する作業が発生するので脱稿まで気が抜けません。
印刷所によって脱稿連絡あり/なしや、原稿をチェックする度合いに差があります。
印刷所を利用する際の作業について補足は以上です。
実際に本を作るにはどれくらい時間が掛かるの?
ここまでで「本を作る」にあたり必要な作業についてコピー本を作る場合と印刷所で製本する場合に分けて紹介してきました。
「本を作る」ってつまりどういうことなの?と疑問に思っていた方は少しでももやもやが解消できていれば良いかなと思います。
何事も実際にやってみて初めて分かることはたくさんありますし、必要な作業項目と流れを把握していただければ十分ですよ。
ところで、ここまでに見てきた作業項目はどのくらいの時間があれば出来るのでしょう。
実際に作業を始めるにあたり時間の目安は欲しいですよね。
作業時間について解説するために、理解して欲しいことが1つあります。
それこそが前述した「原稿を作る」の意味です。
本記事で紹介している「原稿を作る」とはどういう意味なのかを深掘りします。
「原稿をする=原稿を作る」ではない
まず、「原稿をする」と「原稿を作る」の意味は違うと覚えてください!!
それぞれの意味を順番に解説していきますね。
最初は「原稿をする」について。
あなたの推し作家がよく言っているであろう「原稿をする」の意味はとても奥深いです。
その理由は「原稿をする」という表現の中には様々な作業が含まれているからです。
イメージしやすいように「本を作る」という目標を「昼食に自宅でカレーを作って食べる」に置き換えて考えてみましょう。
自宅でカレーを食べるまでに発生する作業を挙げてみます。
- 昼食に何を食べるか考える
- カレーに決める
- 材料/調理器具を揃える(状況に応じて買い物へ行く)
- カレーを作る
- カレーを食べる
こんな感じで、カレーを食べるためにいろんな作業をしますよね。
そして、最初に「昼食に何を食べるか考える」ことから始まっているのがここのポイント!
これは前回の記事で紹介した「どんな本を作るか考える」と同じ種類の作業です。
カレーを食べるために昼食に何を食べようか考えたのと、本を作るためにどんな本を作ろうか考えたのは同じ作業。
つまり「カレーを食べるためにあれこれ準備をしてカレーを作る」は「本を作るために原稿をする」に言い換えられます。
これをもう少し整理すると、前回の記事で考えてもらった「どんな本を作るか考える/決める」と「製本方法について考える/決める」といった2つの作業も「原稿をする」の一部です。
これがどういうことかというと、あなたはもう既に原稿をやり始めているということですよ!!!
あなたの推し作家が言う「原稿をする」は本を作ろうと決める、どんな本を作るか考える、どうやって作るかアイディアを出す、なんていう名もなき考え事もぜーんぶまとめています。
ぼやぼやしていた「原稿をする」の正体がなんとなく見えてきましたか?
せっかくなのでもう少しだけ踏み込んでみましょう。
私は「原稿をする」にまとめられる作業は大きく分けて以下の2つだと考えています。
- コンテンツを作る
- それ以外の細かい処理
前述したコピー本作り/印刷所での製本のために必要な作業項目がどちらに当てはまるのかというと、全て「2.それ以外の細かい処理」と考えていただいてOKです。
では「コンテンツを作る」が何かというと、漫画/イラストを描く、小説を書く、などの「中身」を作ることだと考えてください。
中身に該当するのはあなたが普段やっている創作活動で生み出した作品です。
さらに、作品を作るには物語やキャラを考えたり、描(書)いたり、タイトルを決めたり、など色んなことをして完成させますよね。
そういった作品に関連すること全部まとめて「コンテンツ(中身)を作る」だといえます。
「原稿をする」とは本を作るために
- どんな本を作るか考える
- 作品(中身)を作る
- 製本方法に合わせて必要な作業をする
など発生する全ての作業をひとまとめにした表現です。
あなたがこうして本の作り方を調べたり学んだりすることも本作りに必要な作業の1つなので、あなたは今もリアルタイムで「原稿をする」を実践中です〜〜。
どうですか?「原稿をする」って結局なんなの!?ともやもやしていた疑問が解消されていれば何よりです。
ここまで理解してもらえたなら「原稿を作る」の理解は簡単!!
もう一度カレーの話に戻って、カレーを食べるための作業一覧を確認しましょう。
- 昼食に何を食べるか考える
- カレーに決める
- 材料/調理器具を揃える(状況に応じて買い物へ行く)
- カレーを作る
- カレーを食べる
「原稿を作る」はこの一覧でいうところの「4.カレーを作る」です。
ここのポイントは「カレーを作る」はもっと深掘りできるところ。
試しに(恐らく一般的であろう)カレーを作る時の手順を挙げてみます。
- 具材をカットする
- 具材を炒める
- 具材を炒めた鍋に水を加える
- 煮立たせる
- アクを取る
- 一定時間煮込む
思いつきで挙げてみましたが、この7つの手順を全てまとめて「カレーを作る」という表現をしますよね。
カレーを作るのは、カレーを食べるために必要な作業の1つです。
「原稿を作る」も同じで、本を作るために必要な作業の1つ。
もう少し噛み砕くと、「原稿を作る」は、印刷可能なデータ/原本を作ることを意味しています。
だから、同人誌を作っている人が言う「原稿をする」と本記事で紹介している「原稿を作る」の意味は違います。
どちらも様々な作業をひっくるめた表現なので、同人誌の原稿って結局何をするの??と疑問に思っても解明できないまま身動きがとれない方は多いように思います。
おまけに、人によって必要な作業が違うことも多々あるのが初心者さんにとって厄介なところだなとも感じます。
1つお断りをしておくと、本記事をはじめとする「初めての同人誌作り」シリーズで解説するのは本の作り方です。
物語やキャラの作り方/描き方などのコンテンツ作成に関する部分の解説や紹介はあえてしないのであらかじめご了承願います。
創作に関することは正解なんてないので、考え方のヒントとして別記事で紹介程度に留めています。
長々と書きましたがここまでの話をまとめると、
「原稿をする」は①物語などを考え描いて作るコンテンツと②本を作るために必要な作業をする、の2つの大きな要素をまとめた表現。
「原稿を作る」は本を作るために必要な作業をすることです。
図で示すと以下のようなイメージ。
同人誌にまとめるコンテンツ(中身)を考えたり描いたりすることは、本を作るために必要な作業からは切り離して考えてくださいね。
同人誌を作っている人が言う「原稿をする」と私がいいたい「原稿を作る」の姿が見えたところで、ようやく本題に入ります!
本作りに掛かる作業時間
繰り返しになりますが、この記事やシリーズを通して紹介するのは本作りに必要な作業に関することです!!
これだけは頭の片隅に置いてくださいね!!
あくまでも私の実績ベースですが、本作りに必要な作業をする時間はおよそ2週間程度です。
コンテンツ(中身)さえ作っておけば2週間で本は作れる!
ちなみに、原稿をする(コンテンツ作成時間を含めた)作業時間は1冊あたり1ヶ月+1週分くらい。
実績でいえばコンテンツ0の段階から250ページくらいの小説本を1ヶ月とちょっとで作ります。
時間配分の内訳は
- プロット:1週間
- 本についての構想検討/決定:1〜3日
- コンテンツ作成:2週間
- 原稿関連作業:1週間
- 校正:1週間
- (コピー本の場合)製本:1〜2日
コンテンツに関する作業は1〜3(3.5週分)、本作りに必要な作業は4と5(2週分)です。
あくまでも私の場合の実績値であることと、状況次第で変動することを前提に参考としてください。
校正は私が必ず行なっていることであり、人によっては行なっていないかもしれません。
純粋に原稿を作るだけなら1週間程度で可能です。
一方、自分で漫画/イラストのコンテンツを作る時は普段やらないことなのでもっと時間が掛かります!
つまり、不慣れなことはそれだけ時間が掛かります。
なので初めての本作りであれば、本作りに必要な作業だけで1ヶ月程度を目安としてください。
当然人それぞれ作業ペースがありますし、それを踏まえた上でコンテンツ作成も含めた全体の作業時間は3ヶ月程度みると余裕がもてるかと思いますよ。
作業量を理解したらスケジュールを立てよう!
随分と長くなりましたが、本記事で本を作るために必要な作業にはどんな項目があるのか見ていただきました。
コピー本を作る/印刷所で製本する、どちらの方法を採用しても掛かる時間はそう大きく変わらないので作業スケジュールを立てる際の参考としていただければ幸いです。
また、「原稿をする」と「原稿を作る」の意味も解説しました!
同人誌作りで疑問に思っている方が1番多い部分だと思いますので、理解を深めるヒントになればと思います。
今は全部を飲み込めなくても、実際に原稿作りをしていけば自然と理解できるようになりますので安心してくださいね。
とにかく「原稿をする」と「原稿を作る」は違うんだ!と覚えてもらえたらOKですよ。
もう少し座学のような回が続きますが、焦らずじっくりやっていきましょう〜〜!
コメント