そういえばっていう書き出し多いマンなんですけど、段組のことを聞かれてたなとふと思い出したので私の段組に対する考え方を書いてみます。
本を作る時の段組設定って調べてみるけどいっぱいあって訳わかんないよ〜〜;;って思ってる方の参考になれば幸いです。
そもそもなんで段組の設定って色んなバリエーションがあるの?
私も段組の設定については良く検索をするんですけど、色んなまとめが出てきますよね。
そして、出版社によっても段組の設定が違うことをご存知ですか??
え!知りませんでした!って方はご自身の本棚から出版社が異なる作品を手に取ってぜひ見比べてみてくださいね〜。
こんな風に段組って色々あって色々良いみたいな感じなんですよ。
じゃあ、なんでこんなに段組の設定っていっぱいあるの?分かりづらいからどうせなら一つに決めてくれたら良いのに!と思う方へ回答するなら段組をする意味に答えがあると思っています。
”段組が行われる理由の1つとして可読性が挙げられる。一続きの文章において1行の文字数が多くなると可読性を損なうことがある場合、段を換えて1行の文字数を適度にすることで可読性を保つことができる。”
Wikipedia「段組」より
段組をする理由はこれに限ったことではありませんが、なぜ段組をするのかと言われたらやはり「可読性」を確保するためなんですよね。
で、ここで考えて欲しいのは人間には色んなタイプの人が居るんですよ。
そして、その人それぞれに「好き嫌い」があるように「読みやすいと読みづらい」があるんです。
どうして人によって「読みやすい」と「読みづらい」があるの?と言われたら育ってきた環境が異なるからだと私は考えています。
この世界には沢山の本が溢れていますよね。
全人類が全く同じ本を読んでいるってことはなかなかないことだとも思います。
昔からある名著はもちろん、最近出版された本だって全部読んでいると言える本の虫が一体どれだけ居ることか。
読んできた本が異なれば、実際に目にする段組の設定だって異なる訳です。
読書経験で培われるのは何も感受性や創造性だけではありません。
読書をする力、または文字を目で追う力とでも言いましょうか。
文字の羅列を目で追い理解する力が読書をすることによって育まれるのですが、その力を養うまでにどんな本を目にしてきたかによって一人一人の「可読性」という感覚は磨かれます。
あなたは普段どんな本を読みますか?
段組は文字の羅列でしかない本の唯一のビジュアル面に該当するので、本の内容によってデザインされるものでもあります。
出版社によって段組設定が異なるのと同じで、どんなジャンルの内容かによっても段組設定が異なる場合もあります。
そのため、あなたが目にする段組設定は以下のような条件において様々あることになります。
- どの出版社の本を読むか
- どんなジャンルの話を読むか
- 誰の作品を読むか
同じ作者の作品といえど、ジャンルや出版社によって段組は変わりますし、一般的な文庫本に対して児童向けの本として編集された本だとこれまた段組は変わります。
結局何が言いたいのかと言われたら、その人それぞれの「可読性」があるんですよ。
だから可読性を保つために行う段組設定をワンパターンにすることが出来ない。
あなたにはあなたの可読性があるように、私には私の可読性がある。
ようは、色んな人間の好みに合わせるために段組設定は自由に設けることが出来ると考えるべきでしょう。
答えを言っているようなものではありますが、段組はね〜〜〜結局のところ自分が読みやすいと思うもので設定するしかないんだよ〜〜〜〜。
だから段組設定の大正解は永遠に決まりません。
この世界に生存するのがあなただけになったらこの戦いに決着がつくかもしれないけど。
段組の考え方は分かったけど、ざっくりで良いから基準となる数字が知りたい!
段組というか、これはもうページレイアウトの話になってくると思いますが出版社ごとに段組設定は異なるとは言ったけどそんなに大きな数字がずれているという訳でもありません。
少し具体的な数字を出してみますね。
文庫サイズ
▼ 縦書き
行数15〜18行、文字数38〜42文字、1Pの最大文字数570〜756文字
▼ 横書き
行数16〜18行、文字数38〜42文字、1Pの最大文字数608〜756文字
▼ 出典:出版社別文庫の1Pに入る最大文字数!
▼ 参考:文庫本各社の文字組まとめ
新書サイズ
行数14〜16行、文字数39〜43文字、1Pの最大文字数546〜731文字
▼ 出典:YAHOO!知恵袋 『新書一冊分の平均的な文字数を教えてください』
A5サイズ
(A5サイズで小説本を作るのって同人特有の文化だよな〜って調べてて思いました。面白いよね。)
行数20〜25行、文字数10〜25文字、1Pの最大文字数1,000文字前後
▼ 出典:ホープツーワン 『同人誌の作成をお考えの方必見|小説同人誌の作成手順』
とまあこんな感じです。さすがに出版社ごとのあれこれを数えるだけの冊数を持っていないのでソースはざっくりと出しています。興味があればリンクへ飛んでみてください。
段組を決める時の考え方としては、1ページあたり何文字入れたいかを考えると自然と段組設定は出来るかと思います。
出版業界で言われている1ページあたりの最大文字数は文庫も新書もおおよそ600字前後だと言われています。
文庫でいえば行数16〜18行までが最適で19行になるとみっちり、20行になると鬼といわれていますかね。
文字数は39〜42文字が最適で43文字以降になるとぎっしり、46文字だと辛いです。
おおよその数字は出しているので、まずはこの範囲から大きくそれない数字設定をしながら自分なりの「可読性」をもとに基本の段組設定を見つけてみてくださいね。
最後に、書いてる人の段組設定はこんな感じ
同人小説を書く人が段組設定をする時の悲しい基準点は、出来るだけページ数を減らしたいというところが大きいように思います。
文字書きが同人誌を作るのって業が深いんですよ。
本を作る時の値段ってページ数がダイレクトに反映されるんですよね。
なので、ページ数が増えれば増えるほど金額が上がります。
紙の種類によって背幅に厚みを持たせることは簡単に出来ますが、とはいえ文字数少ないぺらっぺらの小説本はやっぱり物足りないと思った時にじゃあどうやってページ数減らすのかと言えば段組設定で工夫するしかない。
どのくらい段組設定で文字数を減らせるのかという自分の段組を元に例で挙げてみますね。
文庫サイズの段組例
▼ 基本仕様
- 本文ページ数:262ページ
- 本文総文字数:173,634文字
- フォント:源暎こぶり明朝
- フォントサイズ:8pt
- 段組設定:19行×43文字
- 1ページあたりの総文字数:817文字
- 使用本文紙:ライト書籍用紙クリーム55kg
- 背幅:12mm
実際の本ページは以下の画像の通りです。
では、前項で挙げた中で1番優しい段組設定の16行×39文字に当てはめてみます。
▼ 計算式は以下。
- 16行*39文字=624文字(1ページあたりの総文字数)
- 173,634文字/624文字=278ページ
差分は16ページなので大した感じにはなりませんでしたが、同じ条件で料金計算をしたら本文だけで約1,000円分の差額が出ています。
更にカバーとかを含めて諸々の計算をすると単価は40円変わっていました。
少部数発行するサークルにとって単価が40、50円くらい変わると全然感覚が変わる。
単純計算した場合、これ100部刷るとなると3〜4,000円くらい変わりますかね。
これ20万字いかないくらいの本で考えてるのでそんなにインパクトを感じないのですが、総文字数が多ければ多いほど顕著に響いてきます。
例えば倍の40万字の本を作ろうと思った時。
400,000文字/817文字=489.59ページ(本文ページ数)
400,000文字/624文字=641.02ページ(本文ページ数)
という計算結果になるので差分は小数点以下切り捨てで152ページにもなります。
ここまでくると600ページ以上の本を作れる印刷所は限られてくるので、場合によっては特別見積もりを取得しなきゃいけなくなる。
さすがにこんなレベルの本を常に作る人は居ないと思うのであくまで参考値として。
こんな風に色々な思惑があって段組設定をするので、あなたが見やすいなと思う段組を研究するしかないんですよね。
この記事の中で相当具体的な数字は出したと思いますので、参考として自分なりの段組を作って欲しいなと思います。
それから、段組の決め方にどうしても悩むようならあなたが好きな本の段組を真似してみてください。
私は総文字数が多いSFが好きなのでみっちり感のある段組が自分の感覚に馴染むという理由で例に挙げたような段組をしていますので、普段読んでいる小説を参考にするのがあなたに1番合った「可読性」を実現した段組を作ることが出来ますよ。
段組も本の立派な装丁の一つなので、楽しんで考えてみてくださいね〜!
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