二次創作を前提とした同人誌の価格設定の考え方の話

同人誌

念のために一応お断りをしておくと、あくまでもこれを書いている私の主観の話です。

私のような者がこう言っているから正しいとかそういったことは一切ありませんし、正誤を考えて欲しくてこの記事を書いている訳ではないということを念頭に置いて読んでください。

自分で作った物に自分で価値を決めるということはとても難しいことなので、色んな人の意見や考え方が知りたいなと悩んだり迷ったりしている人に向けて書いていることをご理解いただけると幸いです。

スポンサーリンク

同人誌の価格に含めるもの、含めないもの

一次創作の世界ではあまり見掛けないように思うのですが、二次創作だと何かしらのイベントが開催される度に学級会が開かれますよね。

まあ、古の時代からこの学級会は開かれ続けて、一向に閉廷する様子がないんですけど。

この学級会は昔から不毛だなと思っているんですが、どうやったら終わるんでしょうね。

なんていうぼやきはほどほどにして本題に〜〜。

同人誌の価格に反映するべき要素とはなんだろう。

これまでもこれからも、全てにおいての大前提は『この記事を書いている私の場合』とつけ加えて読んでください。

同人誌の価格に反映するべき要素として考えられるのは基本的に以下かなと思っています。

  • 依頼する印刷所から提示される金額
  • 本に付属する+α(自作した帯などのアイテム、無料配布冊子、ペーパー等)

それから、これも含めてもありなのでは?と思っているものが以下。

  • 自宅から会場へ本を移動させる輸送費(会場から自宅への輸送費も含む)
  • 頒布イベントの参加費

逆にこれは含めないなと思っているものは以下。

  • 会場までの遠征費
  • 頒布イベントで使用する備品等の雑費

完全にただの主観ですが、理由を書いてみます。

絶対同人誌の価格に反映するべきと思われる要素について

基本的に『同人誌を作る』という事実だけに着目した場合、物理的に生じるのは『本を作ってもらう印刷所さんにお支払いする代金』です。

それは本を刷ってもらう印刷所さんから提示されるお値段のこと。

内訳は明細を見れば分かることですが、紙代や輸送代、サービスの利用料などがまとめられて一つの金額を提示されます。

本を作りたいと思った時、実質掛かるのはこれだけです。

だけど、人によって掛かる金額がまちまちなことは当然起こり得ます。

では、それは何故でしょうか。

例えば、全く同じデータを入稿し、全く同じページ数の全く同じ紙で同じ部数だけ本を作ったとしても、依頼する印刷所さんによって提示される価格は異なります。

その理由は、印刷所さんが運営している会社そのものの規模であったり、会社自体の強みを持っていたり、他社との差別化を図るために取り組んでいるキャンペーンが適用されたりするから、といった『印刷所そのものの都合』が第一に挙げられます。

これは世の中に存在する(サービスを生業とする、と言っても良いのかな)企業全てに通じるものであり、いち利用者には介入することの出来ない問題です。

どこの印刷所さんも著しく高すぎたり安すぎたりといったことはないと思いますが、厳密に見ていくとどの印刷所さんにお願いするかによって『本を作る』という行為に生じる価格が変動することは正しく起こり得る事象です。

この時点で「○○さんの本は100ページ1,000円なのに、どうしてあなたの本は100ページ1,500円なんですか?利益出してるんですか?」などと作り手さんにイケイケどんどんしている人は今すぐ謝ってくれ。

知らなかったのなら仕方ないです。印刷所さんのそれぞれの値段なんて知りませんよね、作り手でなければね。

でももう知ったよね。全ての企業が一律料金で運営しているわけではないことは、同人誌を購入するような年齢になったなら分かるんじゃないかなと思うけど。

「電車」と一括りに言っても、JRと地下鉄と私鉄じゃ乗車料金違うでしょ。それと同じ。

では『本を作る』という同じ行動をしているはずなのに、依頼する印刷所さんから提示される金額が違う理由の二つ目。

それは『掛かる時間』です。

これは作り手さんの采配で変動させることが可能な要素なので、『作り手の都合』と言い換えておきましょうか。

所謂「早期入稿」や「割増入稿」というサービスのオプションを利用することです。

前述したような同じ条件で印刷所さんへ依頼したとしても、価格が全く変わります。

早割をした場合、定価の30%オフってところはよく見かけるし、逆に地獄の割増入稿だと最高で15〜20%くらいましましになるんじゃないかな。

これってかなりでかい。

ページ数が多い・発行部数が多いという条件において数が大きくなるほど%の恩恵も悲しみも比例する。

とまあこんな感じ。

同じ部数、同じページ数、同じオプションで本を作ったとしても依頼する印刷所が違えば掛かる料金は変わるし、同じ印刷所に依頼しても印刷する日数で掛かる料金が変わる。

「本を作る」と一言で書いても、全部一律料金じゃないんです。

だから皆、数ある印刷所さんを調べたりする。

それから、少し蛇足的な話になりますが近年は紙の価格が高騰しているので、昔の「同人誌を作ることが出来た価格」とは相場が変わってると思ってます。

だからと言うわけじゃないけど、古の同人誌料金設定問題で良く言われる「相場」というやつは常にあってないようなもんだからよろしくね。

「相場」についてはまた後述します。

話を一旦戻しましょう。

それから、もう一つ書いたのが「本に付随する+α」です。

これは、帯くらいなら自作した物で十分良い装丁は出来ると思っている点が一つと、本

と一緒に頒布する無配なんかの作成代が該当します。

無配って自分で言う以上は無配なんだけど、データ配ってる訳じゃないので現物にする以上何かしらの金が掛かるわけですよ。

例えばコピー用紙。

1袋100枚入りのインクジェット用紙。

ペーパー作るとして1円。冊子作るとして4枚で8ページ分と考えると4円。

そしてインク代、コピー本ならホチキスなりなんなりで留めるでしょう。

インクコストって使用するプリンター次第で全然違うんですけど、ランニングコストなんて気にしないもんね。

更に厳密に言えば、作業してるパソコンは充電してるよね。それ電気代に入ります〜〜。

まあ、良いよ。とにかく金が掛かるんだよ。

無配と謳うのは良い。構わんよ。好きにやってくれ。

でも私は、本に付随するものだと思ってるから自分で装丁いじったり、無配として配る物に掛る費用も同人誌の価格に反映するべきだと思ってるよ。

というか、文字書きでいう無配って絵描きさんがするノベルティと同意義なんですよね。

ノベルティの文化って、二次創作の同人誌で利益を作らないためにおまけを作ってるっていう事情があるので。

その理論で言えば、無配に掛かる費用を含めて同人誌の価格を決めるべきじゃないかな。

というとちょっと語弊があるかな。

私のスタンスで言えば、無配をやるかどうかって頒布物がどのくらいの黒字が出てるかで決めたら良いと思ってるんだよね。

黒字が相当分出てるなら無配なりなんなりで相殺すれば良いし、むしろ黒字が出てないなら無配するのやめようよ。

赤字で同人誌作るのどう考えても狂ってるから、お金の計算はちゃんと出来るようになってから物を作るべきだと思うな。

これも含めてもありなのでは?な事について

基本的に含めても良いのでは?と思っているものは「作った本に関すること」としています。

そして、場合によっては本をイベントで頒布しますよね。

イベントは頒布場所を運営から有料で貰います。

イベントへの参加も「作った本に関すること」に当てはまるのではないかな〜と思っています。

なので、場合によっては黒字になっている分をスペース代として考えることで利益相殺と考えても良いのでは??

あくまでも「利益相殺」のためのスタンスなので積極的に同人誌の価格に乗せるかと言われるとそうも言えないんだけどね。

また、本を「印刷所→会場直搬入」ではなく、「印刷所→自宅→会場搬入」となった場合に掛かる送料も同様。

これを見越して同人誌の値段に上乗せするのもちょっと違う気がするけど………という温度感です。

どこまでもニュアンスだから、個人的な解釈になるのは否めないです。

だから、一人一人が自分の中で明確な線引きみたいなのは持っておくべきだと思うんだよね。

あくまでも私の個人的な意見ですが、黒を厳密に相殺する目的でスペース代を入れても良いのではと思っています。

とはいえ、一人称は必ず「本」です。

本を作る、本を頒布する、本が移動するとか、本を中心に考える

なので「作者」としての自分は含まれません。

という観点から考えているのが次項。

これは含めないなと思う事について

まず一番に挙げられるのが「作者(自分)の遠征費」

人によっては宿泊代や飯代が掛かるよね。

これは「本」に関わらないことなので一切含まない。

同人活動をする上で、生きることに伴う必要経費を人に支えてもらうようになったらそれはプロと同じです。

完全に二次創作の同人活動の枠から逸脱しています。

それが一次創作(オリジナル)での活動ならまた意味は違うんでしょうけど。

わざわざ遠征してきている方がいらっしゃるのは分かる。

これはどうしても個人の環境の問題なので、どうしても難しいものがある。

とはいえ、遠征費が赤だと嘆くなら通販とか委託とかやり方は色々あると思うので、自分の懐事情と相談するのがベストかと思います。

それから、イベントへ参加するにあたり使用する備品類。

文房具とか、ガムテープとかそういう諸々の物。

備品はあくまでも「自分」が主体になるので、本には一切関係ない。

イベント後には個人的に使うだけになるからね。

どこまで行ってもただの私物なので、本の価格に含めるのは違うかな。

よく言われる「相場」の話

私も古の文字書きなので、「相場」というワードの概念的なものはなんとなく分かります。

感覚としても持っているとは思う。

とはいえ、作り手さんたちが出しているお品書きを見てなんとなく決めた価格の感覚ではありません。

「このページ数でこのくらい刷ったらこの単価になるだろうな」という感覚が分かっているので、その基準から考えて「高いな」「安いな」を考えられるという話。

学級会が起こる度に言われる「相場」ってなんなんだろうね。

作り手さんが提示する価格にケチつけるような子たちが「相場」なんて分かるわけないじゃんと思ってるんだけど。

前述した通り、古の時代から続く同人誌作成の歴史と今を並べることは意味がない。

紙の値段が高騰しているし、サービスの在り方が変わっているから印刷所さんが提示している料金も変わってきてると思うよ。

「相場」とかいう訳わからん理由でケチつけるのやめてくれほんと。

あるのは「本を作るのに幾ら掛かったのか」というシンプルな事実だけ。

基本的に本の値段に反映されているのはそれだから、自分の浅い経験で見てきた「大体これくらいの値段」という感覚を元にいちいち文句つけるのやめようね。

私はそのくらい掛かったのか〜〜しゃーないな、と思うだけだよ。

まあ、全体的に印刷所さん探してないなとは思う。

ただ、自分が作る本に対して何を重視するかというこだわり方次第だから、そこはなんとも言えない。

料金を抑えて適度な物を作りたいのか、料金は度外視してゴッテゴテの装丁にするのか。

これは本当に作り手の気持ち次第だから、絶対こうしろと言うものでもないんだよね。

まあ繰り返しになるけど、とにかく言いたいのは提示された値段は何かしらの根拠があって提示されてるものだから意味の分からん「相場」という言葉を使って文句言うのやめろって話。

早く「相場」とかいうワードなくなってくれ。

自分が作った本を蔑ろにしないでね

よく見かけるんだ。

「私が出す本なんて誰が買ってくれるんだろう」とか「こんな話にお金出してもらうの申し訳ないとか」さ。

あえて厳しいことを書くなら、そう思うなら作るのやめたら良いよ。

そんなこと言って、それでも作るんだから何かしらの思いがあるからでしょう。

というか本来、自分で本を作るのってどこまでも自分のためだと思うんだけど。

人に買ってもらうために本作ってんのか???やめた方が良いよ。疲れるから。

先輩と良く話すんだけど、同人誌作るのなんてただのドMの所業だって。

なんでただの趣味でこんな苦しいことしてるんだって思う。

ちゃんとやろうとすればするほど面倒臭いし、作業工程も多いしデータ作るのもうんざりする。

どんなに頑張っても誰からも褒められないし、金は掛かるし、寝る時間削ってやって時々意識とか失ってるよ。

でも作っちゃうんだよね。自分が欲しいから。

自分が思う、自分のためにこだわった本が欲しいから。

もっとこうだったら良いのにとか、こんな本あったら面白いなとか、この話を紙にして手元に残しておきたいとか。

最初から最後までどこまでいっても「自分のため」なんだよね。

他人ありきで本作ろうと思うのめちゃくちゃしんどいよ。

だって自分が思ってるほど声なんて掛けてもらえない。

どんなに頑張ったって買って貰えるかなんて分からないし、買ってもらえたとしても感想なんてろくに貰えない。

費用対効果がめちゃくちゃバランス悪い。コスパ最悪。

でも作る。睡眠削って、節約して、なんでもやれるのはそれが自分の欲しい物だから。

人間は所詮自分のためにしか真剣になれないんだよ。

自分が何が何でもやりたいと思ったら、どんなに苦しくてもやるんだ。

本を作ろうと思ったら自分のために泣き言言わずにやれ。

いや別に泣き言は言っても良いな。私も言うわ。

そんで、出来たものに対して誇りを持て。

他人から感想なんて与えて貰えないのが当たり前なんだから、自分で自分の作品を蔑ろにすんな。

お前が作ろうと思ったんだろ。書こうと思ったんだろ。

お前が一番大事にしてあげなくて、あとは誰が大事にしてくれるんだよ。

なんていうか、自分で自分の本とか作品を下げてる人見ると、それを買ってくれる人に申し訳なくないのかなと思う。

作者が蔑ろにしてる物をわざわざ買ってくれる人に謝って欲しい。ていうか私はそういう人の本を買いたくない。

その金額を提示するからには、相応のものを出せよ。

「買って良かったです」って言ってもらえるような本作ろうよ。

そうじゃなきゃ作る意味なんかないし、作らないで欲しい。

自分で頑張って納得して出した本なら、絶対にそんなことは言わない。

自分を下げるところを間違えないで欲しい。

その金額を提示した理由はちゃんとあるんだから、自分の気持ちも相応の物として胸を張ってくれ。

最後のまとめとして言いたかったのはこれ。

自分の作品を蔑ろにしないでくれ。

金を出して買ってくれた人に失礼なことしないで。

本を作るなら自信持って出して欲しいし、提示する金額に文句言われても気にしないで。

ただ、その金額を自分で出す以上は自分の中で思う、その価値だけの物をきっちり作り上げて欲しい。

それから、「赤字で本を作ること」は何も偉くない。

今は良いかもしれないけど、私たちはこれから先も生きて行かなきゃいけないから、赤字が当たり前と言っている人は正気か?と思う。

本作る前にまず貯金しようよ、とかそっちを気にしてしまうんだよな。

というのは、私も本を作るのに夢中で人間らしい生活を放棄した結果、ぶっ倒れて会社にも行けなくなって、その結果お金には相当苦労したから。

今の時代、若者はお金が無くて当たり前とかそんな次元じゃないんだ。

これから先、歳をとって稼げるようになるかと言われたら決してそんなこともない。

楽しいだけじゃ生きていくことが出来ないので、お金がちゃんと工面出来るようになってから同人誌ライフを楽しんで欲しいです。

色々脱線もしたし、考え方が甘いところもあると思うけど。

同人誌の価格設定にはちゃんと根拠があるから、決めることは全然難しくないと思います。

もう不毛な学級会で傷つく人が居ないと良いな〜〜。見てて本当に嫌だからさ。

にほんブログ村 小説ブログ 小説イベント・サークルへ  にほんブログ村 小説ブログ 同人小説(ノンアダルト)へ

コメント